社会福祉法人シオンの会 おさなご園
建物概要
所在地 | 朝日5-7-15 | 構造等 | 木造2階建て |
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主要用途 | 保育園 | 建築年月 | 令和2年4月 |
延床面積 | 832.80㎡ | 敷地面積 | 936.39㎡ |
ギャラリー
設計者概要
設計コンセプト
“樹の塔は園長先生と子供たちの絆の象徴”
この園舎の計画は園長先生の子供たちへの愛の言葉から始まりました。
設立当時、川口でキリスト教の教えにもとづき地域の役に立つ事を行うという考えから、働く母親の手助けとして「子どもをよく育てる」という思いでおさなご園が設立されました。その理念に基づき建て替え計画は進められました。
子供達をお日様の光溢れる空間で伸び伸びと育てたい、そして暖かな日射しの外も走り回れるようにしたい。
その子供達を見守れる温もりのある木造の『樹の塔の園舎』は生まれました。
“キリストの優しさを感じられる空間”
おさなご園の4つの保育方針に基づく 優しさと楽しみのある空間
- 1.キリストの愛に基づき、よく見、よく聞き、よく考え、行動する
- 2.健康な体力作り基本として行う
- 3.早寝・早起き・朝ごはんの奨励
- 4.読み聞かせの奨励
設計のこだわり
“木造の内外一体の回遊空間”
樹の塔(先生)の周りで、見守られながら 子供たちは学び、遊び、暮らす。
「お日様の光の中で伸び伸びと育てたい」という 園長の思いの空間です。
子供達は、樹の塔の周りを室内から園庭までぐるぐると行き止まりなく動き回れる楽しみがあります。
“健康な体力づくりの場”
樹の塔の周りを室内から園庭に子供達が走り回れる空間になっています。
また、保育室は間仕切りを開け放つことで、剣道や運動の為の体育館のようなスペースになります。
“細部にこだわる”
毎日子どもが触れるものだからこそ、建具や家具など細部まで『木』にこだわりました。
環境面でこだわった点について
“風のパッシブデザイン”
夏には外部吹き抜けの煙突効果を利用した高窓を計画しました。吹き抜け上の高窓を風の出口として室内に自然風が流れ込む仕組みになっています。
自然風による換気効果は、コロナウイルスなどの通風換気にも有効です。
“体感温度をコントロールして夏、冬も気持ちよく過ごす”
体感温度=(室内表面からの輻射熱 + 室内気温)/ 2
高断熱化を図っている園舎は天井、壁、床からの輻射熱を抑えられ、体感温度を安定させられます。木造の園舎は骨組も断熱性能がある為「人に優しい構造体」です。
夏には、深い軒で日射も遮り、日陰の空間になる室内で、自然風による汗の蒸散をよくすることで過ごしやすくなります。
冬には、奥まで日射が差し込みます。高断熱で冷めにくい室内は日射熱を活かし暖かく過ごせます。
“木の空間の気持ち良さが子供たちの記憶に残る”
森林を活かすことにより、温暖化に対する考えが芽生え、子供たちが将来サスティナブルな社会を作っていく感覚につながっていくことも期待しています。
柱と樹の塔の壁には、屋久島地杉を使っています。屋久杉の遺伝子をもつ地杉の板は水に強く、強度が高く良い材です。
その屋久島の人工林で成長が早く太い丸太は間伐されます。地元の林業は衰退してしまって製材所では太い丸太が加工しきれずに燃料チップなどにされています。
その太い丸太を園舎に活かしました。この杉の話を園舎の成り立ちからここに通う人たちに伝え、国産の木のことを考え、利用が増えることにつながればと思っています。
木に囲まれたひだまりの気持ちよさがある広さ
周辺環境や外構で配慮した点について
“園の歴史を散りばめ街の景色になる”
道路側に緑を配置して、その中で子どもたちがいきいきと過ごします。創設当時からの門扉や金属のオブジェや卒園児の絵を元にした鋳物レリーフなど園の歴史も外観に散りばめています。子供の成長とともに、木々も育ち、園の歴史のものと共に街の風景になっていきます。
所在地マップ
社会福祉法人シオンの会 おさなご園